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蒼穹 (小説)[そうきゅう]
『蒼穹』(そうきゅう)は、梶井基次郎の短編小説。白昼の広大な自然の景色の中、絶え間ない雲の生成を眺めているうちに、青空に虚無の闇を見てしまう不幸な感覚的体験を描写した作品。写実的な自然描写が心象風景として表現され、「象徴的色彩」を帯びながら、「精神の深淵」、「清澄なニヒリズム」が詩的に描かれている〔〔。 1928年(昭和3年)、同人雑誌『文藝都市』3月号に掲載された。3年後の1931年(昭和6年)5月15日に武蔵野書院より刊行の作品集『檸檬』に収録された。文庫版は新潮文庫『檸檬』、ちくま文庫『梶井基次郎全集 全一巻』などに収録されている。 == 作品背景 == 梶井は『蒼穹』の執筆の頃、「絶望を歌うボードレールの孤高の精神の高さ」に惹かれ、『パリの憂鬱』の英訳をノートに筆写していたが〔〔同じ頃、イギリスの詩人・アーサー・シモンズの英訳の一部もノートに書いている。〕、『蒼穹』には、そのボードレールや、マラルメの影響があるとされ〔鈴木貞美『新潮日本文学アルバム 梶井基次郎』(新潮社、1984年)〕、主題の骨格はマラルメの詩『蒼空』などに似ており、細かい言いまわしは、ボードレールの散文詩集『パリの憂鬱』中の「お菓子」などから学んだ形跡がみられる〔。 なお、梶井は『蒼穹』執筆直前の1928年(昭和3年)1月に「馬込文士村」に行った際、宇野千代をめぐって尾崎士郎と一悶着を起こしというエピソードがあり、このことが、尾崎と宇野の離婚の原因の一つになったともされている〔。その後、梶井は静養先の湯ヶ島へ戻り、2月に『蒼穹』を書いた〔。宇野は後年、梶井との間柄を、「恋情に似た感情が混つた友情」だったと述懐している〔。
抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「蒼穹 (小説)」の詳細全文を読む
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